ウルトラマンシリーズ60周年にあわせて、「一番くじ ウルトラマン 60th Anniversary」が堂々の登場!そこで今回は、本くじのコンセプトビジュアルを手掛けた西川伸司氏をお招きし、商品企画担当者を交えたインタビューを敢行。『ウルトラマン』最終回より、勇ましく立ち向かうウルトラマン、圧倒的迫力のゼットン、そしてゼットンに挑む科特隊など様々なシーンをまとめて1枚のコンセプトビジュアルとして制作したこだわりや苦労のほか、印象的な物語の世界観を空想し、新たな解釈で創造するジオラマフィギュアの新ブランド「空創ノスタルジオ」での立体化について語って頂いた。
1980年代より漫画家デビュー。デビュー以降、様々な特撮作品シリーズに携わり、数多くの怪獣やメカニックのデザイン、絵コンテに携わる。近年は『グリッドマンユニバース』などの作品でもデザインを手がけており、その創作活動は多岐にわたる。
企画担当:今回、くじのコンセプトビジュアル制作にあたって、最初に依頼を受けた際、率直にどういった印象を受けましたか?
西川:まずご提示いただいた要素が非常に多かったので、これを1枚にどうまとめるかが課題でした。昔のコラージュポスターのテイストも入れていきたいとお話を聞いて、コラージュ的な構図になる一方でそれぞれフィギュアの関係性みたいなものが見える構図にしたいなと思っていました。科特隊がいて、その奥にゼットン星人、その背後にはやっぱりゼットンですね。ゼットンの強大さも出しつつ、ウルトラマンはちゃんと全身を描きたいところもある。そういう絵としての構図的な部分や、物語の展開、その商品のイラストとして見せるところはしっかり見せることとか、とにかく最初にまとめ方は悩みましたね。
企画担当:最初のお打ち合わせ時、話をしていたらその場の裏紙でいつの間にか大まかなラフが出来ていて、とても驚きました。(笑)
西川:理詰めしつつ、最初に勢いのままざっくりしたものはできるんです。
かっこいいウルトラマンと、圧倒するゼットンみたいな。ウルトラマンもこれまでと違う恐怖感や圧力を感じている雰囲気とか。
言葉で言うと漠然とするものも、自分は割とすぐ絵に置き換えて考えるほうなので、自然に頭の中でイメージが積み上がっていく感じです。
企画担当:各要素の配置やサイズバランスなどはぎりぎりまでご調整いただいていましたね。
西川:一番の曲者はやっぱりベーターカプセルの光で、コラージュ的な配置ではありつつ各要素の大きさや前後関係だけを切り出せば、ちゃんと整合性があるように見える構図も考えたんです。ただ、そういう時にこのベーターカプセルの光だけは絶対合わないんですよ。(笑)
そのため、普通は一番手前に置くか、奥に背景的に置くか、どっちかなんです。ただ手前に置くのは一番絵としては映えますが、やはり小さくても主役より目立つのはやっぱり違いますし、後ろに置くにしてもこれまた両者が向き合う構図で間に置けないと。まあ向き合っている以上、ウルトラマンの背後ってあんまり本来空間が作れないですけど。
それで考えたのが単なる形としての構図だけじゃなく色の配置として、正義のウルトラマンの青白い光と、ゼットンといえばの火球の赤を絵の中で空間に分けて表現する方法です。青い光の源として配置するのを落としどころにした感じですね。
企画担当:今回のくじでは、西川さんのコンセプトビジュアルをもとに、「空創ノスタルジオ」という新たなブランドでのフィギュア展開となりました。立体化を意識しつつ、世界観ごとイラスト化してほしいという複雑なご依頼になりましたが、どういったアプローチをしようと考えておりましたでしょうか?
西川:そうですね。1枚絵として考えた場合は、中心になるものって一つだったりします。例えば今回のようにウルトラマンとゼットンがいれば、ゼットンは背景的に処理する方が見やすい絵にはなるんですが、今回の絵はそういうワンポイントを立たせる絵ではないわけです。あらゆる要素を部分的に切り取っても魅力的に見えて欲しい。なので、明確にこうすればいいんだっていうよりは、結構試行錯誤はしながら進めましたね。
企画担当:先ほども少しおっしゃっていましたが、要素の差し引きや、配置だったりはかなり悩まれたのでしょうか?
西川:そうです。だからウルトラマンとゼットンっていうのは絶対なんですけど、それ以外のものを邪魔し過ぎないように置くとか。でもフィギュアに含まれる物としてしっかり存在感があるように、どの色で落ち着かせるかは悩みましたね。配置しているものもワーっと賑やかになりつつ、それを画面全体でも赤青に分けることで、賑やかになり過ぎないようにという感じですかね。
企画担当:色合いの配置で特に意識されていたところを教えていただけますでしょうか?
西川:下は炎にして圧倒的な危機感で燃える科特隊基地のところに立つみたいな、要するに地表の部分を制しているっていうイメージですね。あと子供の時はあまり意識していませんでしたが、この回って大円盤軍が地球全土を制圧にきているっていう壮大な世界観ですよね。真ん中にゼットン、とにかく下は燃えて上は円盤みたいな、そこにベーターカプセルの光を背負ったウルトラマンが何とか立ちふさがっている感じですね。
企画担当:色の配置の雰囲気で切迫感がより際立っていますね。
西川:ゼットンとの戦い以前のウルトラマンってあまり怪獣に押されていなくて、主な危機はタイムリミットでした。でもゼットンはタイムリミット関係なしに強敵だったわけです。なので青いカラータイマーと、その青い光を背負ったウルトラマン。ゼットンは逆に黄色、オレンジの発光部分とその赤い炎っていう、それぞれが持ってるその光のイメージと、背景の光のイメージを揃えていこうかなっていうところは意識しました。
企画担当:背景の色の馴染み方が非常に好みで、やはり世界観というか全体のまとまり、青から紫の色の移り変わりでクッと締まったのを感じていました。
西川:ゼットンの照り返しのことも考えていたんですけど、ゼットンの前というか下というか、炎の照り返しでオレンジを赤くして空まで伸ばすと空からの照り返しがわかんなくなっちゃうんですよ。するとちょっと画として面白くないし平面的に見えちゃうので、後方からの照り返しは違う色が欲しいと思って、背中側にちょっと紫の光が入るように空もそういう色にしたというところですよ。
企画担当:西川さんがこの絵を描いた上で、一番のこだわりポイントはどこになりますでしょうか?
西川:怪獣を描く時はその固有のフォルムは意識しつつ、やっぱりディテール感とか、その怪獣ならではのというのは普段から大事にしています。その上で今回は潰すところは潰しつつ光と影とか、特にゼットンに関してはどこまでそこに実際にいると描くのかは意識しました。ウルトラマンもゼットンも同じようにはっきり描き過ぎると、コラージュ的な意味ではなくて、ただでかいゼットンがいるだけになってしまいます。なので下に行くほど、背景に溶け込ませていく実在感とイメージ感のグラデーションがこだわりですかね。これが今回の様々な難題をクリアしている要因かなと思います。(笑)
企画担当:ここまで様々な要素を盛り込む絵は今まで依頼されたことはありますか?
西川:そうですね。多くの要素があること自体が作品の持ち味かなと思うんですけど、1枚の絵としてのまとまりをちゃんと考えながら要素を省かないというのは、これまでにない感じでしたね。(笑)
企画担当:『ウルトラマン』最終話には思い入れや馴染みはあったのでしょうか?
西川:自分の場合は『ウルトラマン』放送当時2歳でしたので、リアルタイムは『帰ってきたウルトラマン』になるんです。でもそれまでに雑誌などでウルトラマンが最後負けることは知っていたと思うので、再放送を見てウルトラマンの敗北にショックを感じたという意識はあまり記憶にないです。ただどういう戦いだったのかは見るまでは知らないので、その時はとにかくゼットンが強くて圧倒的な存在、ウルトラマンが手も足も出ずやられた後、科特隊があっさり倒してしまって最後にゾフィーが助けに来るみたいな。怒涛の回収だった印象が当時はありました。でもそこはヒーローものとしてあの尺の中でどこを一番印象的に見せるかの取捨選択は、恐らくこれ以上はない正解なんだと思いますね。もちろん何度も見ている中で考えていくことですけど。
企画担当:その辺りの印象や馴染みをこのイラストにも反映されているのでしょうか?
西川:そうですね。ウルトラマンもゼットンも、方向性は違いますがやっぱり美しさがあります。要するに圧倒的なデザインの魅力というか感性ですよね。自分はデザインをする人間でもあり、絵を描く人間でもあるのでその美しさを損なわないようにすごく意識しますね。
企画担当:実際に立体物を見てのご感想をお願い致します。
西川:このゼットンらしいスタンダードな静のポーズがここまで圧倒的な存在感というか重厚感もあるっていうのは、もう小細工いらないですよね。実際は細かいことを重ねた結果なんですけど。真正面のゼットンでこんなに惹かれるものっていうのはこれまでなかったんじゃないかなと思うぐらいですね。これを手に入れるためだったら、そりゃくじ引いちゃうよみたいな。(笑)
企画担当:ありがとうございます。やっぱり怪獣のほうがお好きですか?
西川:そうですね。というかウルトラマンはもう言わずもがななんですよ。(笑)ほんとに描くのも難しいんですけど、調整して、磨いて、バランス取って、これ以上どうしようもないですっていう感じがウルトラマンなのでもうここまで来たら、忠実に再現されたら完璧という感じですかね。リアルな巨大なウルトラマンというのを見たい人にとっては正しく素晴らしいものになっていると思います。
企画担当:最後にこれを手に取ってくださるユーザーの方に向け、どんなところに注目していただきたいかのメッセージを頂ければと思います。
西川:そうですね。とにかくこの絵は物語をぎゅっと圧縮した画だと思っています。気分次第でバーンと1枚の対峙するウルトラマンとゼットンとか、そういうのを楽しんでもらってもいいですし、時々ちょっとこう部分部分に目を走らせて、一部のシーンを思い出すとか、そういう本当に寄っても引いても見方がある画だと思っておりますので、部屋に飾って、色んな角度で長く楽しんでほしいです。
企画担当:ありがとうございました。