『怪獣絵師:開田裕治氏』インタビュー!

怪獣絵師・開田裕治氏描きおろし!この道42年の巨匠が描いたオリジナルイラストボードへの想いに迫る!

今回の一番くじF賞のイラストボードは、怪獣絵師の異名をとるイラストレーターの開田裕治氏が描きおろしたオリジナルである。 誰もが知っているロボットアニメのイラストや音楽ソフトのパッケージなどを手がけ、画集も多数公刊されている開田裕治氏。 このイラストボードの制作誕生秘話について存分に語ってもらった。

匠の経歴

―まず、開田先生のこれまでの経歴を教えてください。

1953年生まれの尼崎出身、京都市立芸術大学卒業で職業はイラストレーターです。 ずっとフリーで仕事をしてきて、この道42 年になるのかな。ロボットや、怪獣アニメのイラストなどを描いてきました。 特に怪獣は、1000体以上は描いたかな。

最初から怪獣やロボット専門のイラストレーターになれるとは思ってなかったの ですが、デビューしてすぐに怪獣ブームやガンプラブームの大波が来て、それ に乗っかる形で仕事をこなしていくうちに今に至るみたいな (笑)。

F賞イラストボードについて

―何度拝見させていただいても、このイラストは非常に斬新です。

初号機と第10の使徒で、この戦闘シーンの構図はなかったでしょう(笑)。 エヴァと使徒の戦いを描いてくださいとお話しが来た時、今までに描いたことがなかったものを描きたくて。 最初はテレビシリーズ第拾九話の戦闘シーンを見て、そのバリエーションみたいな形で描いてみようかと考えたの。

でも綾波を取込んだ時の第10の使徒を見て、初号機との組み合わせみたいなものが良いかなとひらめいてね。 巨大な女性の体に、顔も異形(いぎょう)なもの。この組み合わせがキャラクターとして面白いかなと。 第10の使徒は非常に魅力的なキャラクターですし。

―イラストの手法と、こだわりの部分を教えてください。

手法としてはデジタルで、Photoshopで描いています。 いままで40年以上描き続けてきましたが、前半の20年はアクリル絵の具で、後半20年はデジタルで描いていていますね。 描きおろしの構図はエヴァのいろんなモチーフを自分なりに選び出して、それをコラージュし作品に落とし込みながら仕上げています。

特定の画面を抽出してではなく、エヴァの持っているいろんな側面を組み合わせましたね。 この場面での第10の使徒は、零号機を綾波ごと取り込んで身体が巨大な女性体に変化している様がとてもインパクトがありましたから、その女性っぽい体をキチンと描こうと思いました。でも実はそれが難しかったですね。 一番特徴的な胸が初号機で隠れてしまう、とかね。あとは、 使徒の顔にアニメでは表現していないリアルなボリュームと質感を出すためにディテールをつけ足してます。 そこは私らしく、より怪獣的なニュアンスを盛り込ませて頂きました。

―最後に、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開、『一番くじ エヴァンゲリオン2020』の発売を楽しみにされているファンの皆さんへメッセージをお願いします。

僕はこの作品を、エヴァファンの皆さんと同時代的に体験できる幸せを感じています。テレビシリーズから最新の作品が完結するところまで、ずっと長く作品とともに並走できる幸せ。 本当にこの時代に生まれてよかったと思いますし、この時代に日本で生まれていなければエヴァンゲリオンの凄さは分からないと思います。

僕は今でも新しい作品は、必ず チェックしています。それはなぜかというと、 初めて世に出た作品を、同時に体験出来るチャンスは一度だけだからです。出会いというのは、実はそういうものです。 僕はその出会いを大事にしたい。僕も皆さんもエヴァのような素晴らしい作品と出会えて、しかもこれから新作も堪能できる。それは本当に貴重な体験です。 自分の成長の過程にエヴァの作品があるという素晴らしさを体感して、これからも喜びをかみしめていってほしいと思います。 そして運よくこのイラストボードを手に入れることができたら、皆さんのプライベートな空間に是非飾って頂けると、この上ない喜びです!

―開田先生、まことにありがとうございました!