『一番くじ ウルトラマンシリーズ 怪獣超大全』に、待望の第2弾が登場!そこで今回は、A賞&ラストワン賞のガタノゾーアを手掛けた黒龍工房代表・原田俊介氏と、監修を担当された円谷プロダクション 造形部門・LSSの品田 冬樹氏をお招きし、商品企画担当者を交えたインタビューを敢行。新解釈が魅力のフィギュアブランド「塊獣極致」の最新弾に選ばれたガタノゾーアは、その巨大さと特異な存在感で非常に高い人気を誇る怪獣。その魅力を再確認しつつ、原型制作のこだわりについて語って頂いた。
1990年代より、怪獣・クリーチャーを中心とするガレージキットの原型制作や塗装などに携わる。2017年にはペインター及びフィニッシャーに転向し、2019年にはガレージキットディーラーとして合同会社 黒龍工房を設立。以後は同社の代表を務めつつ、プロの塗装師として各メーカーのプロダクト製品の見本制作など、多方面で活躍中。
1980年代から造形家としての活動を開始。レインボー造型企画を経て、自身が設立した株式会社ビルドアップや有限会社Vi-SHOPなどに所属。その中で、特撮ヒーローシリーズや特撮怪獣シリーズ など数々の作品でクリーチャーを始めとする各種造形を担当した。現在は、円谷プロダクションの造形部門・LSSのチーフクリエイターを務める。
企画担当:ウルトラ怪獣にフォーカスを当てた一番くじとして立ち上げたのが『一番くじ ウルトラマンシリーズ 怪獣超大全』で、そのメインアイテムとなるのが「塊獣極致」です。「塊獣極致」はウルトラ怪獣の劇中イメージを踏襲しつつ、新たなアレンジを加えたオリジナルのフィギュアシリーズですね。造形を担当される原型師さんの個性や解釈によって、造形・塗装共に唯一無二のフィギュアを展開しています。
第2弾となる今回も様々な商品がラインナップされていますが、「塊獣極致」ブランドの新作としてA賞とラストワン賞にはガタノゾーアを、B賞にはグリーザをご用意しました。第1弾ではゴモラのみでしたが、今回は2種の「塊獣極致」を投入している点にも注目して頂ければと思います!
企画担当:第1弾が昭和のド定番なウルトラ怪獣だったのに対して、第2弾では平成怪獣として、商品化自体がそれほど多くないものの、TDG世代にとって画面上で圧倒的強さを見せていたガタノゾーアを選びました。『ウルトラマンティガ』にラスボスとして登場した怪獣ですが、劇中では巨大過ぎて全体像がハッキリ映されていないことも含めて、謎めいた存在なんですよね。そういう意味ではアレンジの自由度が高く、「塊獣極致」におあつらえ向きのキャラクターだと思いました。それに第1弾のゴモラが王道だったので、意表を突いた方がインパクトがあるだろうというのもありましたね(笑)。
原田:ルックスも含めてどんな怪獣かは以前から知っていましたが、しっかり本編を観たのは今回のお話を頂いてからですね。思っていたより10倍デカかったです(笑)。
今回私は企画とポージングと彩色を担当していて、実は造形を担当したのは弊社の別の人間なんです。これは意図的なもので、全部一人でやると客観的な部分が見えずに独りよがりになる可能性もありますし、「この造形なら誰が合うかな」というところで造形担当を選んだという意味合いもあります。
原田:やっぱり巨大な殻と上下逆の顔が印象的なので、立体物としてそこがメインになるように考えました。正面から見たときに巨大感を感じていただけるように、殻は後ろ側を絞って前の方を大きく広げることで、パースを付けています。横から見ても楽しめるように色々工夫していますが、メインはやっぱり正面からのショットですね。
その上で、例えば「この辺にトゲを増やそう」みたいなアレンジではなく、「生物として実在したらこんな感じだろうな」というリアル寄りの表現に重きを置いています。また立体物として見ると、固そうな部分と柔らかそうなヌメヌメしたところがありつつ、触手も何本も付いているという非常に立体映えするデザインなので、その辺りの造形や質感にもこだわりました。
実作業としては、一旦デジタルで作ったものをリューターで削っていくような作り方でやっています。左右対称なメカやロボットなんかだとデジタルはすごく便利なんですけど、怪獣は変な形じゃないとダメですから(笑)。左右の爪がキレイに同じ形になるわけがないし、見ていて気持ち悪い感覚がある。
それと、ガタノゾーアって想像していた以上に人気が高いんですよね。知り合いに聞いてもすごく評価が高いし、そこについては本編を観たり色々調べた中で理解していった感じです。
品田:ガタノゾーアの人気は、テレビシリーズの怪獣の中ではちょっと群を抜いていますよね。
私は年齢的に初代ダイレクト世代なので、『ティガ』の人気については正直斜に構えていたところがあったんですけど、やっぱり最終回にはビックリしました。圧倒的な体格差で為す術もないというところから、逆転劇も燃える展開だったし……「これは名作になるな」と思いました。まず姿形に「これは一体何なんだ?」という違和感があって、それに独特な設定や物語も含めての人気なのかなと思います。
ガタノゾーアのスーツは大小の2種類があるんですけど、劇中だと下半身はほとんど映らないんです。だから立体物を作る際も想像に任されている部分が多いし、キャラクターとしては謎めいた怖い存在でもあります。いわゆる怪獣の規格からは、完全にはみ出ている印象があります。その意味でも、ガタノゾーアの魅力が『ティガ』を不朽の名作たらしめたのだと思いますね。
原田:「怪獣ってこういうものだよね」というラインを、全部壊している感じがある。「普通顔は上下逆にしないだろ」というようなぶっ飛んだ要素が色々あって、それらが全て良さに繋がっているんですよね。
品田:ウルトラ怪獣って基本的にはキャラクター重視ですし、テレビの小さな画面だと下半身はそんなに映らないから、デザインソースは割と上半身に集中しているものなんです。でもそういう定石をガン無視したことで、単なる好感を飛び越えて一種崇拝されるような存在になった気がしますね。僕も事前情報ナシで観ていたら、ハンマーで殴られたようなショックを受けたと思います。
原田:大きい方は高さが2メートル以上で、小さい方はその半分程度だったと思います。
品田:ティガが上に乗っているスチール写真があるんですけど、それを見る限り殻だけで2メートルくらいありそうですね。
原田:A賞では、陸に上がって乾いた状態をイメージした彩色になっています。
企画担当:A賞はスーツの資料を参考にしつつ、劇中に近いカラーリングを再現しています。色味も、マットな仕上がりになっていますね。
原田:一方ラストワン賞では、海で濡れた状態をイメージしたカラーリングを狙いました。 だから単純な色替えではなく、シーンによってこれだけ違って見えますというバリエーション違いだと思ってもらえたらと。
企画担当:ラストワン賞では水に濡れた艶感と共に、劇中での薄暗い背景イメージや不気味さを意識しています。
品田:ラストワン賞は、貝殻表面の凹んでいる部分が光っているように見えますね。
原田:闇のエネルギーを、紫の塗装で表現できないかなと考えました。内側から光が漏れているイメージで、触手辺りの紫色はその光の反射をイメージしています。
企画担当:パープルを基調にしたのは、劇中で印象的だった石化光線のイメージからですね。
原田:そうです。殻を塗っていて「この色が合いそうだな」と色々試していたら、楽しくなってしまって。バンダイさんから「脚はシルバーにしましょう」と突っ込みが入るまで、楽しんでました(笑)。だからA賞の胴体はシルバーですけど顔周りや胴体下面は紺色で、境目はシルバーがにじんだような色になっています。
品田:確かにこの試作だと、リタッチした感じが残っていますね(笑)。胴体下の脚は劇中では良く見えないから、一番曖昧なんです。胴体や尾は柔らかそうだけど脚は甲殻類みたいに固く見えるし、色をどうするかは悩みどころかも知れない。ここの色はテレビでも映らないし、デザイン画でも分からないので。
原田:泣きそうなくらい資料がないんですよ(笑)。顔や胸の辺りからは紺色だから腹の部分も同じだろうし、でも脚はシルバーとなると、境目はどうしようと。だから脚との境目は、途中から色が剥げたみたいなイメージにしました。
品田:ガタノゾーアに関しては色んな方が立体化していますけど、みんな形が違うんですよね。みんな違ってみんな良いみたいな感じで。
品田:監修する側からすると、ガタノゾーアは最近増えている気がしますね。
原田:ガレージキットだと、特にここ1〜2年で増えていると思います。特に海外の方が多いので、やっぱり海外受けするバランスなんだと思いますね。
品田:同系列のキャラクターがいないし、唯一無二の魅力を持った怪獣だからなんでしょうね。しかも元のスーツ自体が曖昧だから、料理の仕方次第でいくらでもアレンジできる。圧倒的な大きさとフォルムは共通イメージとしてあるけど、特に造形準拠が重要な部分は顔くらいで、あとはもう自由なんですよね。
原田:そうですね、殻と顔以外は資料が少なめなので。
品田:下あごが上になっているのもおかしいんだけど、全てがおかしいからむしろ普通に見えるという(笑)。
原田:デジタルでの作業が2ヶ月弱で、それに手作業による調整が3日くらいです。2種類の塗装も、合わせて3日くらい掛かっていますね。
原田:やはり下半身ですね。ガタノゾーアのイメージをなるべく崩さないように、見た人に納得してもらえる下半身にするにはどうすれば良いかというところから、打合せを始めました。「俺の解釈はこうだ!」みたいな独創的なことをやるには、ガタノゾーアだとちょっと恐れ多過ぎるので(笑)。
あとは先ほど言ったように殻は形状を変えていて、正面から見るとパース全開になるようにこだわって造形しました。形状をアレンジしつつ、もっとスタイリッシュに見栄え良くしようという狙いですね。
品田:殻は元々のフォルムだとちょっと四角くて、上から見ると並行に3本並んでいるような形状なんですけど、確かにこの方がカッコいい。
原田:50センチサイズで作れるならそのままで良いんですけど、やはりサイズによって見え方は変わりますし。今回の企画だとそのままではインパクトが出ないので、アレンジが必要だろうという判断です。
品田:ガタノゾーアの場合大小のスーツがあるから、どちらを参考にするかも難しいですよね。
品田:正面から見て一番下のハサミは、スーツだとアクターの脚が入っているんです。だからハサミの後ろ側には踵が入っているようにして欲しいというのは、お願いしましたね。それと、殻のイガイガした部分もリアルで良かった。ハサミ部分が鳥の顔っぽく見えるのも、ウルトラらしくて良いなと思いました。
原田:はい、そこはちょっとアレンジを入れてみました。
品田:左右でハサミのサイズを変えているのも、意図的ですよね。左右で大きさを揃えるとシンメトリックな印象になって、カオス感が出ないから。
原田:当初は下半身全体を隠して見せない方が、神話感が出て良いかなとも思ったんですけどね。でも水辺みたいなベースを作って隠すと逆にチープに見えてしまうだろうし、今回は普通に全身を作ろうという結論になりました。
品田:巨大怪獣は、足元を隠した方がより巨大感が出るんです。だからやっぱり、テレビじゃなく映画スケールの怪獣なんですよね。それをテレビでやったのがすごいなと思うし、そこもガタノゾーアが長く愛されている理由の一つなんでしょうね。
原田:今回のガタノゾーアは怖さや巨大感にこだわっているので、手に入れた方はぜひ下からアオリで見て楽しんで欲しい。写真だと伝わらない良さがあるので、とりあえずいっぱい引いて手に入れてください(笑)。
品田:飾って眺めるのはもちろん、手に取って遊ぶのにもちょうど良いサイズが魅力になっていますね。原田さんと同じなんですけど、やっぱりパースの付いた造形が最大の特徴なので、実際に手に持って見上げて欲しい。写真では伝わらない迫力があるので、ぜひ楽しんでもらえたらと思います。
企画担当:殻の造形などガタノゾーアの禍々しさを存分に詰め込んだ「怪獣極致」となっております! A賞もラストワン賞も明確にコンセプトを変えた彩色にして、それぞれが唯一無二のアイテムとなっておりますので、ぜひぜひ両方とも実物を手に入れて頂きたいです! くじ全体としても「塊獣極致」だけでなく、各世代の人気ウルトラ怪獣を魅力的な雑貨にして取り揃えています。何を引いても楽しいくじになっていると思いますので、ご期待くださいませ!